お参りとお詣りの違いとは?

「お参り」と「お詣り」は、どちらも「おまいり」と読みますが、実はそれぞれ異なる意味を持っています。

「おまいり」する場所や作法にも違いがあります。それぞれの違いを正しく理解し、適切に使い分けましょう。
今回は、「お参り」と「お詣り」の違いや、それぞれの作法について解説いたします。

「お参り」と「お詣り」の違い

「お参り」と「お詣り」では、言葉の意味や、「おまいり」する場所、作法に違いがあります。
それぞれの作法については後述します。まずは、言葉の意味と「おまいり」する場所の違いについてご説明いたします。

言葉の意味の違い

「お参り」に使われる「参」とは、「行く」の謙譲語にあたる「参る(まいる)」のことです。
「参る」には、目上の人からの評価や志を受けることを表す「あずかる」や、目上の人と会うことを指す「まみえる」などの意味があります。
仏教では仏様にお祈りすることを「お参り」といいます。
また、仏教の形式に則ってお葬式を行うことが多い日本では、ご先祖様のお墓に行くことも「お参り」にあたります。

仏様へのお参りでは祈りを捧げますが、お墓参りはどちらかというと「あずかる」の意味合いが強く、ご先祖様への挨拶および近況報告が行われます。
一方、「お詣り」の「詣」には、高い域に達する「詣でる(もうでる)」「詣る(いたる)」という意味があります。
ここでいう「高い域」とは神様のことで、願い事をしたり、目標を達成した時の報告をしたりします。

「おまいり」する場所の違い

「お参り」は仏様やご先祖様に念ずる行為ですので、仏様のおられるお寺や、ご先祖様の眠るお墓に赴きます。
一方、「お詣り」は神様にお祈りする行為ですから、日本の神様を祀る神社に足を運んでお詣りします。
どちらも「おまいり」の時期や回数に制限はありませんが、「お参り」は仏事やお彼岸、お盆などに。「お詣り」はお正月や、大きな願い事がある時などに行うのが一般的です。

「参詣」との違い

「参」と「詣」の漢字を組み合わせた「参詣」は、神社仏閣に赴くことを意味する言葉です。
一見すると「お参り」や「お詣り」と同義語のように思えますが、実際に仏様や神様に祈りを捧げる「お参り」「お詣り」に対し、「参詣」は神社仏閣に行くことそのものを意味しています。
たとえ神様に拝まなくても、鳥居や山門をくぐれば「参詣」したことになります。「お参り」や「お詣り」と同義語ではありません。
ちなみに、神社仏閣でお祈りする行為は「参拝」といい、「お参り」や「お詣り」は、広義では「参拝」の一種です。

「お参り」と「お詣り」の作法の違い

お寺で仏様に念ずる「お参り」と、神社で神様にお祈りする「お詣り」では、参拝の作法に違いがあります。
日本人にとって神社仏閣での参拝はなじみ深い習慣ですが、作法についてくわしい人は意外と少ないようです。

適切な作法で「おまいり」できるよう、それぞれの参拝の仕方をしっかり覚えておきましょう。

お参りの作法

山門をくぐると、そこは仏様がいらっしゃる領域です。まずは山門の前で合掌・一礼しましょう。
山門をくぐる際は、敷居を踏まないよう注意しながら、男性は左足、女性は右足から入ります。

手水舎では、ひしゃくに水を一杯くみ、左手→右手→口→左手の順に浄め、最後にひしゃくを立てて柄の部分に残った水をかけます。
途中で水をくみ直したりせず、最初の一杯だけで浄めるのがポイントです。

お寺によっては常香炉がありますので、煙を全身に浴びて心身を浄めましょう。

体を浄めたら、本尊と相対し、お賽銭をそっと賽銭箱に入れます。

合掌・一礼したら、右手で親指と人差し指、中指の3本を使ってお香をつまみ、左手を軽く添えながら額の前に掲げます。
その後、お香をそっと香炉に落とし、再び合掌・一礼します。

お寺を出る時は、入る時と同様、本堂に向かって合掌・一礼することを忘れないようにしましょう。

お詣りの作法

鳥居を入る前に一礼し、神様にご挨拶してから境内へと向かいます。
鳥居が複数ある神社では、鳥居をくぐるたびに一礼をしましょう。

鳥居から境内へと続く道を「参道」といいますが、中央にあたる「正中」は神様の通り道ですので、参拝客は参道の端を歩くのが礼儀です。

手水舎でのお浄めの手順はお参りと同じで、左手→右手→口→左手→ひしゃくの柄の順に水をかけます。

ご神前まで辿り着いたら、賽銭箱の前に立って一礼し、お賽銭をそっと入れ、鈴がある場合は鳴らします。

その後、2回礼をし、2回柏手を打ちます。

合掌したまま神様にお祈りをし、最後に一礼します。

神社から出る時は、お参りと同じく、鳥居の前で社殿に向かって一礼してから帰宅しましょう。

「お参り」と「お詣り」の違いを正しく理解してから参拝しよう

「お参り」と「お詣り」では、言葉に込められた意味や参拝する場所、作法に違いがあります。
どちらも仏様、神様に祈りを捧げる神聖な行為です。意味をきちんと理解し、正しいマナー・作法で参拝することを心がけましょう。

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お詣り・お詣りに関するよくある質問

「お参り」と「お詣り」はなにが違いますか?
「おまいり」する場所や作法、言葉に込めれらた意味に違いがあります。
どちらも仏様、神様に祈りを捧げる神聖な行為のため、意味をきちんと理解し、正しいマナー・作法で参拝することが大切です。
「お参り」と「お詣り」はそれぞれどこでするものですか?
「お参り」は仏様やご先祖様に念ずるため、仏様のおられるお寺や、ご先祖様の眠るお墓に赴きます。
それに対し「お詣り」は神様にお祈りする行為日本のため、神様を祀る神社に足を運んでお詣りするという違いがあります。

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