永代供養とは?意味と種類ごとの費用について解説
ご家族がお参りをできなくなっても、寺院や霊園管理者が将来にわたって遺骨の管理・供養を行ってくれる永代供養。
お墓を継ぐ人がいない、転勤や引っ越しなどの事情により故郷を離れている、頼れる親戚がいないなど、核家族化が進む現代のさまざまな事情を解決する手段として注目されています。
今回は、永代供養の意味や、どんな方におすすめできるか、種類や費用なども含めてご説明します。
目次
1.寺院などがご家族に代わり将来にわたる供養を行う「永代供養」
古くからある寺院では、境内地のなかに合同に埋葬できるお墓「永代供養墓」(または合祀墓)を建立しているところがあります。宗旨宗派不問の霊園でも供養の終着点として「永代供養墓」を用意している墓地もあります。お墓を継ぐ人がいなくなり、墓地が荒れ放題になるのは、やはり避けたいもの。承継するのが難しいと感じたら、「永代供養」を検討してみましょう。
ただし、「永代供養」と言ってもやり方は様々あり、現在は、17回忌または33回忌までの一定期間は遺骨を個別に安置し、その後は合祀墓(共同のお墓)に移すという方法と最初から共同で埋葬する方法、この2つが主流です。それぞれ費用にも差が出てくるため、事前によく諸条件を確認しましょう。
2.永代供養はお墓の維持・管理の負担を減らしたい場合などにおすすめ
永代供養は無縁仏になる心配がないことや、一般的なお墓(墓石と永代使用料で約100万~200万円が平均的)と比べると維持が容易で費用が少なくて済むため、下記のような場合におすすめです。
*お墓の承継者がいない
*お墓の維持・管理が困難
*子孫にお墓のことで負担をかけたくない
*お墓が遠方にあるので近くに移したい
*墓じまいを検討している
*将来にわたって無縁仏にならず供養してもらいたい
*伝統的なお墓の制度にこだわらない。
*承継者のいないご親族の納骨場所に困っている
*宗派の問題からお墓に入ることができない。
いずれも、少子高齢化や核家族化など、日本の世相を反映したケースですね。
また、永代供養は生前予約できることも魅力。元気なうちにお墓の心配を解消したい、生前にお墓を決めて心の拠り所としたい、という希望から「終活」の一環として、生前に永代供養を選択される方も増えています。
3.永代供養の代表的な3つの種類と費用を紹介
ここまでは、永代供養の意味やどのような方に向いているかを説明してきました。次に気になるのは「費用はどれくらいなのか」ですよね。
永代供養では遺骨を埋葬する方法にもいくつかの種類があります。ここでは、代表的なものをその費用とともにご紹介します。
1.永代供養墓(約3万円〜約50万円)
合祀墓、合葬墓、などとも呼ばれ、不特定多数の方々と共同で1つのお墓に埋葬されます。寺院や霊園の敷地内に仏塔や観音像、モニュメントを建てて遺骨を共同で納めますが、お墓の管理や供養は寺院や霊園に任せることが可能。お墓を継ぐ人がいない場合などにおすすめです。
夫婦二人のどちらかが亡くなったら個別のお墓にお参りし、両方共に亡くなったら永代供養墓へ、という永代供養セットプランを用意している霊園もありますので、検討する際には自分たちの希望を話し合っておきましょう。
2.納骨堂(1人用約50万円〜、家族用約100万円〜)
遺骨を安置する屋内型施設のことを納骨堂と言います。
*ロッカーのように骨壷を安置する個別スペースが並ぶ「ロッカー型」
*ロッカーを発展させて仏壇がズラリと並ぶ「仏壇型」
*お参り用ブースでカード認証をすると骨壷が呼び出されてお参りできる「自動搬送型」
といった種類があり、最近の納骨堂は明るい印象となっています。
納骨堂は、交通の便がいい場所に建てられていることが多く、天候に左右されずお参りできるため、利便性を重視する方におすすめです。
ただし、一般の建築物同様にいずれ建物の老朽化が起こってきますので、注意が必要です。また、一定期間(17年や33年)祀った後に共同の合祀墓に移すこともありますから、契約時に確認しておきましょう。
3.樹木葬(約10万円〜約80万円)
寺院や霊園の敷地内に樹木葬のスペースがある場合が多いです。
シンボルツリー(ハナミズキや紅葉など)の周りに遺骨を埋葬するスタイルですが、この他に芝生やお花で飾られたガーデンタイプの樹木葬もあります。
シンプルで自然の明るいイメージを好む方から注目を集めています。
樹木葬では、埋葬するご遺骨の形状に指定がある、埋葬場所を選べない等の条件がある場合がありますので、事前によく確認しましょう。
4.海洋散骨やペットと一緒のお墓も(海洋散骨約5万円〜40万円)
上記の3つが永代供養の主な種類となります。新しい埋葬のカタチとして海に遺骨を撒く「海洋散骨」や、宇宙に遺骨を散骨する「宇宙葬」などもありますが、この場合、すべてを散骨してしまうのではなく、遺骨の一部を永代供養墓に納める方もいます。海洋散骨を選択された方のなかには、毎年祥月命日になるとご遺骨をまいたところまで船に乗ってお参りに行くご遺族もある、という話を聞いたことがあります。日本人には、心の拠り所としてどこか一ヵ所で拝みたい、という気持ちが根強くあるようです。新しい埋葬のカタチを選ばれる時には、ご自分の希望はもちろんですが、遺された家族への配慮も大切にしたいものです。
4.永代供養にかかる費用は約10〜100万円まで幅広い
どこにどんなお墓を建てるかを元気な間にご家族で話し合っておくと、理想の霊園を見つけやすくなります。大切なのは家族や故人の希望に沿った霊園を選ぶこと。
今回ご紹介した民営霊園と公営霊園のメリット、デメリットを比較した上で、ご家族の希望に近いのはどちらか検討してみてください。
メリットが多いことから民営霊園が人気ですが、安定性や信頼度から公営霊園を選択される方も少なくありません。公営霊園は安い、と思われがちですが、墓地の土地代は路線価によるところが大きいので、民営霊園とさほど変わりはありません。逆に公営霊園には小さな区画が少ないので、土地代を含む墓地建立の総額は小区画のある民営霊園の方が安い場合もあります。「大切な家族が眠るお墓は近くてお参りし安いところに」、これは今も昔も変わらないお墓に求められる条件です。永年の経費となる管理料では、公営霊園に軍配が上がりますが、費用面のみで判断してしまわず、まずは検討材料として自宅近くの民営霊園に問い合わせてみるのも一つの手です。
永代供養にかかる費用は約10万円から100万円を超える場合まで、大きな幅があります。これは、
*最初は個別に安置して一定期間後に合祀するケース(例:納骨堂や集合墓、預骨付永代供養墓 約80万円)
*最初から散骨し、合祀するケース(例:預骨なしの永代供養墓 約30万円)
*永代供養墓、納骨堂の立地場所
といった、それぞれのケースや立地の利便性によって料金の差が生じてくるためです。
また、墓石を建てるとなると、土地代、墓石代、墓石工事費、毎年の管理費などが必要となりますが、永代供養墓の場合には最初に利用料金を支払えば、その後の費用は一切かかることはありません(納骨堂では、建物保全のために管理料がかかる場合があります)。ですから、一般墓地と比べると、費用に割安感があります。
但し永代供養は一人一人に対して料金が必要になるため、最初は安く感じても、人数が増えると追加料金がかかったり一旦合祀されると遺骨をもとに戻せないという制約もあります。また、「家族のお墓がない」となると、子供達の代で再度お墓をどうするか、永代供養にするのか、という選択を迫られることになります。世代を越えた将来的なトータルコストも考えておく必要があるでしょう。
※ 掲載の費用は参考価格です。
どのような供養が行われるか、をしっかり確認
永代供養墓では、埋葬された方は寺院や霊園管理者によって供養されますが、お盆、春・秋彼岸に合同法要を行う、日々のお勤めで供養する、など供養の仕方は様々です。気になる時には、しっかり確認しておきましょう。
自分にあった永代供養を選んで「終活」も安心
終活ブームもあり、永代供養を選択する方は増えています。しかし、種類も費用もさまざまですからその中から最適なものを選ぶことが大切です。また、簡単を重んじるあまり、家族に伝えたいことや先祖を敬う気持ちが置き去りにされてしまうのも寂しいことです。
ご自身の希望するスタイル、ご予算も考え、安心できる永代供養の方法を選びましょう。
永代供養墓に関するよくある質問
- 永代供養とはなんでしょうか?
- お墓参りをしてくれる人がいない場合に行けない人に代わって、寺院や霊園が管理や供養をしてくれる埋葬方法のことです。
ただ、遺骨の安置期間には一定の期限が設けられているため、事前に確認をすることが大切です。 - 永代供養墓ではどのように供養をしていただけますか?
- 霊園や寺院でお彼岸やお盆に合同供養を行ってくれるのが一般的です。
場所によっては年に1回のところもあるため、ご契約前にしっかりと確認をしておきましょう。