終活とは?何歳ころから準備に取り掛かれば良い?手順についても一挙公開!
目次
終活とは「よりよく生きる」のための前向きな整理
終活とは、「自分の死後のための準備」と考えがちですが、実は「これからの人生をよりよく生きるために、一旦自分の人生を整理する」ことです。
死後のための準備と聞くと、なんだか少し恐ろしいような気持ちになってしまう方もいらっしゃるでしょう。しかし、終活とは決して後ろ向きなものではなく、それよりもポジティブなものなのです。
人生を整理するからといって、必要ないと思ったものをどんどん捨ててしまっては思い出も一緒に捨ててしまうようで寂しくもあり、不安でもあります。何を頼りに行えばよいかそのガイドラインとなるのが、終活の強い味方「エンディングノート」です。身辺整理ができると気持ちも軽くなり、また改めて、人生を謳歌しようと前向きな一歩を踏み出せるようになります。
終活を始めるなら、体力、気力も十分な65歳頃からがちょうどよい
ほとんどの人が、65歳あたりから終活を始めるようです。65歳というと、ちょうど会社を退職、子供が結婚や独立で手を離れ、自分の時間に余裕ができる頃です。まだまだ元気で、それまで仕事や子育てに費やしてきた時間をどう使うか、考え始める年齢でもあります。
「人生100年時代」と言われる今、65歳から100歳までは35年あります。気力・体力ともに十分あり自分で自由に行動できる65歳という節目を、自分の人生を振り返り整理してみるよい機会と捉えて、終活を始めましょう。
終活の手順を紹介!やっておきたいこと・考えておきたいこと
65歳を迎えたら、実際にどのように終活を行っていけばよいのでしょうか。ここからは、その具体的な内容をご説明します。
終活は4つのパートに分かれる
終活は、「自分史」「介護・看病」「葬儀・お墓」「財産」の4つに分けられます。65年間歩んできた人生ですから、どのパートも完璧にまとめようとすると、かなりの時間と手間が必要です。その労力を考えただけで気が遠くなるようですが、全部を100%こなそうと思わずに、まず自分が最も気になるところから終活を始めてください。
終活の知識がまとまっているエンディングノートの活用がおすすめ
近年何かと注目を集める「エンディングノート」。今では本屋の店頭にもいろんな種類が並んでおり、終活の大きな手助けをしてくれるアイテムです。エンディングノートはそもそも終活のために作られたものなので、終活のノウハウや役立つ知識、家族への想いを記す項目など、あらゆる面で終活をまとめることができる優れものです。最近は項目に「ペットのこと」を加えているエンディングノートも見られます。
何から終活を始めたらよいかわからない、と迷ったら、ぜひエンディングノートを活用することをおすすめします。
終活「自分史」編
履歴書タイプ、思い出やエピソードを綴る、好きな食べ物や趣味をまとめる、年表スタイルで書き起こす、などいろいろなまとめ方があります。生まれた時から今までの人生を文章にしようとすると、途中で息切れしてしまうので、一番心に残っている時代から書き始めるとよいでしょう。
終活「介護・看病」編
認知症や重度の脳の障害により意思の疎通が図れなくなるかもしれない状況。その時「介護・看病」の意思決定は家族に委ねられます。これは非常に重いテーマですが、どなたにも起こりうること、と捉えて備えておきましょう。
誰に介護してほしいか、どんな施設が希望か、財産管理は誰に頼むか、といったことから、胃ろう、延命治療、臓器提供、献体など終末期医療に関わることをまとめられるようになっています。
今記入したことと、実際そうなった場合とでは状況は変わるかもしれません。また、ご自分の気持ちも今後変わるかもしれません。ですから、「これはあくまで私の希望」と割り切って、今の自分の気持ちを素直に書いてみましょう。自分の気持ちがまとまったら、介護や看病をお願いするご家族の思いも聞いて、お互いが納得のいく介護や看病ができるようにすることが大切です。
終活「葬儀・お墓」編
「お葬式」は、人生最期のセレモニーです。最近は家族だけで静かに見送る「家族葬」というスタイルが主流になっています。これは、平均寿命が伸びたため、高齢でお亡くなりになった時友人や知人が少ない、また少子化により家族・親族の数が少ない、などが要因としてあげられます。
しかし、「簡単でいいよ」という親御さんの言葉にとまどいを覚える子供世代も多いと聞きます。育ててくれた両親を手厚く供養し見送りたい、という気持ちがあるのに、簡単ってどうすればいいの?と悩む方もあるようです。
また遺された家族の費用の負担を減らしたい、という思いもあるようですが、家族葬は参列者が親族のみで御香典が少なくなる分、自らの持ち出しが増え、結果として支払った費用は普通のお葬式と変わらなかったというケースも少なくありませんので、注意が必要です。
「お葬式」は「結婚式」と違って、短い時間で多くのことを決めなければなりません。まして闘病中の家族を抱えながら葬儀のことを考えるのは、精神的にも体力的にもとてもつらいことです。葬儀を取りしきる喪主の経験者が二度目の葬儀に臨む場合はごく僅かで、殆どの方は『初めて訪れた街を地図もなく歩くような』気持ちで葬儀に臨みます。「病院で亡くなってから葬儀の打ち合わせに至るまで」を確認しておくだけでも、不安は随分と解消され落ち着いて対処できます。
「今はまだ若く、葬儀のことなんて…」と思っていても、自分の最期のセレモニーをどういう形で見送ってほしいのか、要望を残しておくのはとても大切なことです。いずれそのうちに、と後回しにせず、元気な時に葬儀についての自分の希望を整理しておきましょう。エンディングノートには、どんな人にお葬式にきてもらいたいか、をまとめる「連絡先リスト」のページがあります。このページを書き込むうちに、旧友のことを思い出し、親交が再開したという方もいらっしゃいます。まさに、「前向きな終活」ですね。お世話になった方々にどんなふうにお別れをしたいか、を軸に考えるといろいろな想いやイメージが湧いてくることでしょう。
葬儀の次は「お墓」。人は亡くなったらお墓に入り、いずれ土に還ります。中国に「寿陵」(じゅりょう)という言葉があります。生前にお墓を用意するのは縁起が良いとするものです。その言葉の通り、「終の棲家」をどんなふうにしたいか、家族で話しながらお墓を作り上げる作業は、亡くなった後も家族の心の支えとなるはずです。逝去後は、お葬式や遺品整理、相続の手続きなど様々なことを行わねばならず、時間に追われ、体力的にも金銭的にもきつくなります。お墓は、こころの財産。「前向きな終活」として、元気なうちに家族みんなが納得のいく場所に、想いのこもったお墓を建てておくことをお薦めします。
終活「財産」編
奥様に先立たれたご主人から伺ったお話です。
「家のことは妻に任せっきりにしていたので、通帳や保険証券の保管場所、どの印鑑が使われているか、光熱費の支払いはどうなっているのか、全てのことが皆目わからず大変でした。私が死んだら困るのは息子ですから、ちゃんとわかるようにしておかなければ、と心底思いました。」
同居している配偶者ですら途方に暮れるのですから、一緒に暮らしていない息子や娘がとまどうだろうことは想像に難くありません。
エンディングノートには、不動産、預貯金、有価証券、生命保険、宝飾品など財産について記入するページが設けられています。その内容に従って整理していけば、ご自分が今持っているものが目に見える形でクリアにすることができ、生命保険の再検討や形見分けの希望など次のステップも見えてきます。これもまた「前向きな終活」ですね。
インターネットの普及と共に新たに問題点として浮かび上がっているのが、携帯電話や会員サービスのID、パスワードです。誰でもネットで気軽に登録できるので、様々な会員サービスを申し込んでいる方が増えています。個人情報の観点から難しい部分もありますが、残された家族が困るかもしれない、と思われるものに関しては、ID・パスワードがわかるようどこかに記録を残しておくことも必要かもしれません。
自分の財産についてある程度の整理がついたら、形見分けや相続についても考えやすくなります。故人の愛用品は、残された遺族にとっても大切な形見ですし、亡くなった人を偲ぶ思い出の品となります。自分の思い出の品を譲りたい相手の希望があれば、誰に持っていてほしいのか、誰に思い出として大切に扱ってほしいのか、ということをきちんと考え、エンディングノートに希望を書いておきましょう。
このようにエンディングノートを書き進めると、自分の身の回りにいかにたくさんのものがあるか、ふと気づかれる方がたくさんいらっしゃいます。数年前に「断捨離」という言葉が流行りましたが、これを機に、必要なもの、不要なものを整理して身軽になるのもよいことですね。これも「前向きな終活」です。
ここで気をつけなければならない点は、「エンディングノートには法的拘束力がない」ということです。エンディングノートに希望が書かれていても、遺族の誰かがそれを認めなければ無意味となってしまいます。もし、確実に法的に認められた文書を残したい場合は、遺言書の作成をお勧めします。
遺言書があれば、その内容が最優先で、その後に法定相続が続きます。ただし、遺言書には書き方に細かなルールがあり、少しでもルールからはずれると無効となってしまいます。法的に有効な遺言証書を残すためには、「公証役場」「司法書士」「弁護士」などの専門家に相談されることをお勧めします。
遺言は大切な財産にかかわることですし、重要な法律行為です。自分だけの知識で判断して、不適切な処理になってしまったら大変です。相続が「争続」とならないためにも、ここは慎重に考える必要があります。
「ペット」のことも終活の一環として考えておく
ペットは大切な家族の一員。もし飼い主が入院することになったら、誰に面倒をみてもらいますか?ペットの生活習慣や癖、好きな食べ物など、簡単な項目をまとめておくだけでも、ペットを預かる側にはとても助かりますし、何よりペット自身が慣れない環境のなかでも穏やかに暮らせることでしょう。病気やケガはいつ起こるか予想できません。ペットを飼っている方は、自分のことだけでなく、愛するペットのためのページをエンディングノートに追加しておきましょう。
【まとめ】終活は暗いものではない!人生をさらに楽しむことにも繋がる
終活は、決して暗いもの、人生の終末へ向かうための手順ではありません。それどころか、終活をしたことで気持ちがスッキリし、以前より人生を楽しく過ごせるようになった、という声が圧倒的に多いのです。
新たなチャレンジや夢を再発見して人生を有意義に謳歌するためにも、自分が生きてきた総まとめとして、終活を行ってみてはいかがでしょうか。